押上村行楽

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浮世絵 押上村行楽


■勝川春潮 押上村行楽

本図は、右端の図に、「普賢菩薩」、「押上村」と彫られた石碑が見えるところから、江戸北東の郊外、押上村の辺りにまで出かけてきた江戸の人々と、その土地の人々の風俗および自然を描くものと了解される。「普賢菩薩」とは、普賢堂のある春慶寺のことであろうから、画面の後方を流れる川は、隅田川と中川とを横に結ぶ北十間川ということになろう。この辺りは、北に三囲神社、東に亀戸天満宮などの名所も多く、舟を利用すれば気易く逍遥の楽しめる地域であった。路を行きちがいざまに好意ある視線を交わし合っている男女が、若侍は軽い羽織、女たちは日傘と、初夏の候を思わせるから、亀戸天神の名物である藤の花見がてらの人出ということであろうか。釣竿を手にしたり、草刈籠を背に負う村童や、馬を曳く農夫の姿も遠近に配され、田圃や林が遠くはるかに広がっている。川に入って魚を釣る男は、土地の人か、趣味のために遠出してきた人か、いずれにしても心ひろがるのどかな田園風景にふさわしい点景として画中に働かされている。
○講談社 秘蔵浮世絵大観ベレス・コレクションより


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