住職のお話し

01)明けましておめでとうございます

春慶寺住職

 皆様明けましておめでとうございます。新しい一年が始まりました。昔の正月と違い、改まったことをするお家が減りましたが、「明けましておめでとうございます」という挨拶の声はいいものです。年頭に当たり、家族と挨拶をするということをお話しましょう。「おはよう」「ありがとう」「おやすみなさい」「行ってまいります」「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」、家庭にはありふれた挨拶ですね。どの国の言葉にも挨拶はありましょうが、「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶がある国は少ないようです。外国の人も混じった席で食事をしたとき、自然に「いただきます」と声を出しましたら、「今のは何?」ときかれました。改めて考えたこともありませんでしたが、「この食事をこうして食べられることへの感謝、作ってくれた人への感謝、食材を与えてくれた人への感謝、食材として自分の命を私の食べ物として捧げてくれた物への感謝、そしてさらにこのようにお計らいくださった畏れ多い存在への感謝、こんな気持ちのこもった言葉です。」と説明しました。今手元の和英辞書を引いてみましたが、「いただきます」も「ごちそうさま」も載っていません。「今のは何?」と聞いた英国人は、私のつたない説明を聞いてその時早速まねてくれ、「英語にもこんなすばらしい挨拶があればよかったのに」と言ってくれました。
 いまどきの子供は・・・と言われることが多くあります。返事をしない、挨拶をしない、人の話が聞けない、などなど。大人の皆さん、わが身を振り返ってみましょう。いまどきの大人は大丈夫なのでしょうか。よい社会を作るためにはよい子供を育てなければならないわけで、よい子供はよい大人を見て育つのではないでしょうか。
 斯くいう我が家、結婚十五年を経て今なお熱き戦いを繰り広げる夫婦と、反抗期の門をくぐった13歳の子供であります。食卓が険悪な雰囲気になることしばしばではありますが、「おはよう」から始まり三度三度の「いただきす」「ごちそうさま」、そして「おやすみ」に至るまで、多少の仏頂面を伴いつつも三人とも声を出して挨拶を続けることで、平和への糸口を探っております。
 できうれば笑顔を伴う挨拶のある家庭で子供は育ってほしいものです。世界の平和は家庭の平和からです。家庭の笑顔はいずれ世界を満たすことができるはずです。今年はこんな話を心にとめていただき、笑顔を伴う挨拶を、まずは夫婦、親子、友人や隣人へと家庭から世界へ向けてみましょう。
 仏教の教えに無財の七施というものがあります。その中の「和顔悦色施」(わがんえつじきせ)、「言辞施」(げんじせ)と言う言葉は、愛のあふれる笑顔で、愛の心のこもった言葉をはくことによって、たとえ一銭の金が無くとも、体は動かなくとも世界を平和にすることができるということを説いているのです。街ですれ違う多くの人が険しい顔をして通り過ぎます。縁あってこのホームページを開いてくださった皆様、「笑う門には福来る」とも申しますので、ひとまずにっこり微笑んでみてください。そしてそのままの笑顔を家族に、世界に向けましょう。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan