住職のお話し
24)チベット語に似ている日本語
中国という一つの国家、共産党統治下、しかしシルクロード周辺には独自の文化を継承し信仰の火を絶やさない多くの少数民族が暮らしています。今回訪ねた青海省チベット族の方は、私の話す日本語の響きがチベット語に良く似ていると言います。私達は食事の時相手に勧めるのによく『さあ、さあ』と申しますが、これはチベット語で『お食べなさい』という意味ですと教えられびっくりいたしました。ものを教えるときに『いち、に、さん、し』と声に出しましたら、これも全く同じとのこと。チベット族のお祭りに皆が着ていた着物も柄といい着方といい日本の着物とそっくりで、女の子が帯を後で結んで踊っている姿は、もうまるで日本の祭りを見るようでした。
しかしその祭りにも漢人共産党の公安が目を光らせています。今回の旅の間宿舎でテレビをつけると八月一日中国共産党記念日に向けて旧日本軍の蛮行を揶揄する内容のドラマが流れ続けていました。日本軍人らしき格好の俳優扮する兵は人が考え付くありとあらゆる蛮行を繰り広げています。発音がおかしく聞き取れませんが『めしっめし』とか『ばかやろおっ』という台詞は聞き取れます。
それに対し中国農民を演ずる俳優が涙を流して絶叫する『東洋鬼子!』の声が日本に戻ってきてからも耳から離れません。これを赤ん坊の時から見聞きしていたら絶対に親日にはなれないと思いました。旅行中通訳をしてくれた新彊ウィグル自治区オイラトモンゴル族のバートル氏はテレビを見てショックを受けている私を見て苦笑しながらこう言いました。『漢民族以外の少数民族はこんな共産党のプロパガンダのような番組は見ませんよ。私たちの民族は共産党に後押しされた漢民族に侵略され民族固有の宗教も文化も全て破壊されたのですから。』