住職のお話し

28)辛卯年のお話し

春慶寺住職

 今年の正月お参りの皆様に辛卯(かのとう)年のお話をしました。国中に激震が走るような大きな出来事が起こり、新しい価値観が生まれる年であると。120年前の辛卯年、日本人巡査がロシア皇太子ニコライを襲撃し怪我を負わせるという大津事件が起きました。
 近代国家としてはまだ未成熟であった日本はこの事件後国際法や三権分立が確立したといわれています。また愛知県地方を震源とするM8.0濃尾大地震が起き全国で7,278人が亡くなり142,000戸が損壊焼失しました。
 60年前の辛卯年、日本はサンフランシスコ講和条約に調印し、同時に日米安全保障条約も結ばれました。敗戦後7年間の占領政策から開放され主権が回復しましたが、極東アジアと日本の安全を守る名目で米軍が引き続き日本に駐留する事になりました。民主主義の意識が一般に定着したのはこの年からと思われます。
 この2度の辛卯の話を例に、何事が起きようとも必ず良い結果が得られると申しました。このたびの東日本大震災後、日本人の顔つきや態度が引き締まり身内に被災者の居ない人も皆静かに喪に服し復興の為に出来る事を考えています。これまで自分の事のみを考えがちだった私たちが頭のどこかでいつも人のことを思うように変わってきたのではないでしょうか。
 春慶寺では今後長く募金活動を続け、WHO東アジア地区担当医の押谷仁教授のお力を借りて医療感染症対策、また被災孤児の学習支援活動のお手伝いに力を尽くして参りたいと考えております。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan