住職のお話し

31)手を合わせてみませんか

春慶寺住職

 春慶寺玄関に、合掌して立つ常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)の木像があります。お釈迦様の前世談で、それまで厳しい修行を積んだ一部の優れた人だけが仏になれると信じられてきたのに対し、誰でもが皆仏になる心を持っている事を人々に知らしめる為『我深くなんだちを敬礼(きょうらい)す』と、あらゆる人に対して但(たん)行(ぎょう)礼拝(らいはい)(合掌して礼拝する)行を続けたお姿です。昭和五十八年入寺の折から玄関にご安置し、日々の活動の拠り所とさせていただいております。
 今日蓮宗は『命に合掌』をスローガンとして、自らの命に、そして身の回り全ての命に手を合わせ、命を尊ぶ心を育てひろめる運動をしております。誰にでも自然に出来るのは、『いただきます』『ご馳走様』の時でしょう。まず食事の挨拶の時に手を合わせることから始めてみませんか。お一人で召し上がる時も照れずにやってみましょう。次はこの寺にいらっしゃった時、玄関の常不軽菩薩に倣って『おはようございます』『こんにちは』『ありがとう』『さようなら』の挨拶の時に、是非手を合わせてくださいませんか。手を合わせる時に『私はあなたを軽んじません、何故ならあなたはいずれ仏になる方だからです』と仰った常不軽菩薩の言葉を思い出して下さい。
 三階のロビーに田澤 茂画伯の『日本の神々』を掛けました。お釈迦様が涅槃に入られた日(二月十五日) 、日本の神々も神界に集われ仏教の菩薩様達と一緒にお釈迦様のご一生をお讃えしたことを描いた作品です。中央には普賢菩薩が描かれています。大変エネルギーの強い絵ですので、拝見した私たちも力をいただけると感じます。是非御覧下さい。
 明年は壬辰(みずのえたつ)年、新しい価値が生まれる年です。辰の方位は東南東と南東の間、時刻は午前八時、三辰といえば日月星、北辰は北極星ですので、光を表わします。水と光が組み合わさった年、清らかな強いエネルギーに恵まれる年でありましょう。六十年前の壬辰年二月に私はこの世に生を受けました。怪我も大きな病気も無く丈夫に育てていただいた両親と、ここまで導いてくださった多くの方に深く感謝し、信仰の原点に立ち返って再スタートを切りたいと存じます。どうぞお健やかな佳き新年をお迎え下さい。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan