住職のお話し
37)ミャンマーでの無憂花基金活動
清澄寺での度牒交付式の翌朝十一月二十五日より二十九日まで、私と幸子がミャンマーを訪ねました。皆様からお送りいただいたおもちゃや楽器、文房具などを携え、ミャウンミャのパラヒタ孤児院、サイクロンナルギスで全壊し無憂花基金で校舎を寄付したザラックイン小学校、バゴー管区のウィポンラ住職の僧院など、これまで継続して支援してきたところを再訪して、子供たちに支援金、現地で調達した米、食料、文房具などとともに贈呈いたしました。また今回初めてDaw Khin Myou Thant様のご案内でヤンゴン郊外の僧院が運営する寺子屋(生徒数約千五百人)も訪ねました。
ここ数年の開放政策により諸外国からの企業誘致など、都市部では活発な経済活動も見られます。ヤンゴン行の全日空便は日本人の乗客でほぼ満席でした。初めて訪れた九年前と比較しますと物価の上昇に驚きを禁じえません。持参するドルを両替して購入できる文房具などの量が実質的には減ってしまっています。貧しい農村の学校や寺子屋は、相変わらず何もかも不足している現状です。移動の道路状況はここ数年でほとんど舗装され格段に良くなりましたが、ヤンゴンからミャウンミャまでは片道五時間以上、バゴーまでは片道二時間以上かかります。大変厳しい日程でしたが、ミャウンミャでスアンアー僧院のトラパティ住職に再会できたことは大きな喜びです。サイクロンナルギス直後、ともに被災地の支援をした心の友です。平成二十二年に来日され、当山に一か月ほど逗留しながら身延山久遠寺や池上本門寺、仙台などをともに訪問しました。東日本大震災の被災地に心を寄せて下さり、かの地からずっと祈り続けてくれています。僧院では大学受験を目指す生徒たちにボランティアの教師たちが熱心に学習指導し、また病院も開業して毎日百五十人を超える患者が受診しています。白内障の手術も実績を上げています。さらに三十五エーカーの土地に、念願の瞑想施設を建設中で、世界各地からの僧侶を受け入れています。日本での体験から、精力的な活動のエネルギーを得たとのこと、あの折お世話になった日本の皆さんに感謝の言葉を託されました。