住職のお話し

45)素晴らしき国日本

春慶寺住職

 COOL JAPAN(クールジャパン)というNHKBSの番組があります。調べてみましたら平成二十年に始まっています。毎週日本に住む外国人の方たちがCOOL(カッコイイ!)と感じる日本の優れたものを紹介しているトーク番組です。今年放送されたテーマをあげてみますと、日記、家具、鞄、世界に羽ばたく日本企業、雪国、山葵、フィギュア、パッケージ、宅配、ホテル、歯、お菓子、盆栽、トイレ、温泉などでした。どれもみな私たち日本人にとっては当たり前の事が、外国から訪れた人にとっては驚愕というものばかりなのだそうです。しかも感嘆の声をあげておられるのは所謂発展途上国の方ばかりではなく、むしろ先進国といわれている国の方なのです。そういえば、有名なハリウッド女優が温水洗浄機能付きの便座を何台もお土産に買って帰ったと聞いたことがあります。
 インターネット上の投稿サイトに載った一枚の写真にも世界中から驚嘆の声が上がっています。どんな写真かといいますと、都内の私立小学校に一人で電車に乗って通学する幼い少女がホームで本を読んでいる姿です。日本人にとってはごくありふれた景色に世界中の人が驚くその訳は、子供が付き添い無しに一人で電車に乗って通学すること自体が日本以外の国ではまずあり得ないのです。必ず親が送迎するかスクールバスに乗るかなのですね。しかも、六、七歳の幼い子供が電車の待ち時間にまで本を読んでいる、『あり得ない!』という反響が殺到しています。
 昨年一年間に落し物として警察に届けられた現金の総額は三十三億七千万円にのぼるのだそうですが、その四分の三は無事に持ち主に戻ったとの事。日本を旅した外国人から、財布や携帯電話、パスポートでさえ落としても、日本では警察に届け出ればほぼ無事に戻る、という投稿が相次いでいます。私も子供のころお金を拾ったら交番に届ける、とごく当たり前に思っていましたし、自分の娘にもそう教えました。六十五歳になった今でも、お金や貴重品を拾えばもちろんそういたします。うっかり落とした財布(大きな支払いがあってかなりの現金が入っていました)が全く無事に交番に届けられて、その拾い主は名乗ることもなく立ち去れてお礼状の出しようがなかったという経験もあります。しかし、この当たり前なことが、諸外国では『あり得ない!!』のだそうです。
 世界のどの国にも、美しい自然、四季を彩る花や紅葉、歴史的建造物など「見る」観光に値するものはたくさんありますが、年間二千万人を優に超える外国からのお客様が、それ以上に感動する観光資源は、日本中どこへ行っても安心、安全、清潔で、思いやりに満ちた日本人の心映えではないかと思います。
 せっかくの隣国でありますが、中国、韓国共に幼い子供のころから日本がどんなにひどい国かという事を今も変わらず繰り返し教育しています。しかしここ数年の両国の好景気と旅行ブームで日本を訪れた人は、日本に対する印象ががらりと変わり、中には『今度生まれ変わるなら日本人に』という書き込みまで見られます。政府間ではいろいろと難しい問題や交渉事もありましょうが、せっかく遥々と訪ねて下さった方たちに私たち日本人が当たり前と思っている思いやりとあたたかさに満ちた心配り、心尽くしでおもてなしして、氷が融けるように心と心がやわらかに交われるようになるとよいですね。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan